伊勢大神楽

八舞

鈴の舞

伊勢大神楽開始を告げる舞。左手に御幣、右手に鈴を持ち、サヤサヤと振り鳴らしながら優美に舞います。清々しい鈴の音色によって鎮魂(みたましずめ)の呪力を発揮します。また大神楽では毎朝一番に行う舞で長持ちと呼ばれるお宮さんを拝み、次いで伊勢神宮の方向を遥拝し天照大神の御神徳を授けてもらい獅子頭は神格を得るといわれています。

四方の舞

御頭の呪力によって天地四方を祓い清める舞です。獅子頭の白い髪の毛は幣で神職が用いる祓い幣を意味します。獅子頭を左右左と振ることは神道における「祓え」であり邪気を退けます。二つの獅子が東西南北それぞれに向かい頭を振り大地を踏みしめ悪い精霊を屈服させたり外から来る邪霊にも妨害されないようにお祓いします。

 

跳びの舞

猿田彦(天狗)が産霊(天地万物を生み出す)の法によって疲れ眠っている獅子に奇魂を鎮め生気を甦らせる舞です。猿田彦がササラを鳴らしながら跳ぶことによって大地を踏み鎮め邪悪な精霊を屈服、退散させます。最後に獅子の後ろからひょっこり現れるのは「益す人」で屈服した悪い精霊を表します。

扇の舞

扇は「末広」となっているところから発展を意味し大神楽では天照大神の幸魂(さきみたま)の表徴としています。人に幸福を与える神の御霊である幸魂を天照大神から授かっている猿田彦大神は常に心が豊かで繁盛しています。獅子はその扇(幸魂)が欲しくて猿田彦につきまとう舞です。

吉野舞

壬申の乱(672)で大海人皇子が戦勝を祈願した故事に基づく舞です。宝剣、御幣、扇を持って舞う姿はまさに優美。獅子が最後に宝剣を抜き放つのは敵を打ち平らげる様子を表しています。

楽々の舞

豊年を祝い来る年もよき年であるように祈った神事舞。笹の枝葉に幣をつけたものを忌竹と呼びます。猿田彦は忌竹を立てて悪霊や厄難を祓い退けます。人々はそこで使用された笹の枝を分けてもらい田畑に立てて豊作を祈願したり漁船に飾り豊漁を祈願します。

剣の舞

宝剣を口にくわえ天地四方を舞い清め、次いで宝剣を抜き取り天地四方の邪気や悪魔を切り祓う勇壮な獅子舞。静かな笛の音と力強い太鼓の響きとともに舞います。祓えの信仰と形が集約されています。

神来舞

「神来たる舞」つまり神が獅子に乗り移り狂い舞うと解釈されています。笛の曲は1月から12月まで12曲、舞う方向は12通りあり踏み足は365歩。最も古い「祓え」の信仰を基本にしながらも格調高く優美に洗練された振りを持つ獅子舞です。門付けの折にも舞い、家族全員に幸せをもたらしてくれます。